東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター

生命のアーキペラゴ

生命のアーキペラゴ

海・生命のスープ、この場所はいろんな生き物たちの生死が繰り返され溶けている。
私たちの吸う酸素の半分は海の中のプランクトンが、もう半分は森が作っている。
私たちの身体の中にも自然が存在する。
私たちは世界のほんの一部。
何千、何万もの生き物たちによって私たちの身体は作られ、宇宙はこの身体の中にも存在している。そして地球もまた、宇宙の細胞なのかもしれない。
アーキペラゴ、多数の島からなる海域。
島はそれぞれ特有の意識を持ちながら、海の中を共有している。
多様性の生み出される場所。

大小島真木

 国際沿岸海洋研究センターが大槌町の高台へと引っ越した2018年、現代画家の大小島真木さんが、センターのエントランスの天井に絵を描いてくださいました。その名も「生命のアーキペラゴ」。下の写真が「生命のアーキペラゴ」の全体象です。この作品には、大槌の海にいる様々な生物が登場しており、写真の中の生物をクリックすると、その生物の説明を見ることができます。また、センターでは、平日9時~17時まで「生命のアーキペラゴ」を無料で公開しています。ちょっとした休憩スペースやトイレもございますので、ぜひ、センターにお立ち寄りいただき、天井に描かれた「生命のアーキペラゴ」を生で見てみてください。






  • 鎖状構造のD-グルコース。グルコースにはD型とL型の光学異性体があるが、酸素呼吸で代謝されるのはD型のみとなっている。

  • 鎖状構造のD-グルコースのフィッシャー投影式。

  • 環状構造のα-D-グルコースのナッタ投影式。

グルコース

血糖値として気にしておられる方も多いかもしれないグルコース。ドイツの化学者であるアンドレアス・マルクグラーフ氏により、干し葡萄から世界で初めて単離されたことから、ブドウ糖とも呼ばれています。水中・陸上といった環境を問わず、植物が光合成によって太陽の光のエネルギーと水と二酸化炭素から作り上げる糖のひとつです。私たちの大事な栄養素の一つである炭水化物に分類され、ジャガイモなどに多く含まれるデンプンはこのグルコースがたくさんつながったものです。私たち人間を含め、酸素を利用する多くの生き物がその細胞の中で酸素を使って食べ物を分解することでエネルギーを得ていますが、グルコースはこの化学反応の最も重要なエネルギー源となっています。この反応を経て水と二酸化炭素として水中や大気に放出されると、光合成から始まった生き物の間を巡る二酸化炭素の旅は終わりを迎えることになります。
6個の炭素原子、12個の水素原子、6個の酸素原子から構成される分子で、その構造は鎖状体として表現されることが多いのですが、水に溶けている時には大部分が輪のような環状体となっています。天井画の中には鎖状のものが二つ、環状のものが一つ描かれていますので探してみてください。